なぜ児童文学なのか? その7

宮沢賢治

前記事の続きです

なぜ児童文学なのか? その6
↓前記事の続きです 「じゃ誰も進歩することに、関心を持ってないの?」 「言いたいことがよく、分からないな」 「ほかの人に差をつけて、抜き出ることだよ」 「より高い進歩度を持つことかな? それなら、精神訓練があるけどね」 「その度数のことじゃないよ」 「じゃ何なの?」 「他人より、よけいに持つことだよ」 「よけいに持つって、何を持つんだい。ペドゥリート」 「お金だよ」 (...

東インド会社は歴史上最初の株式会社だよね。

オランダ東インド会社がそうですね。

安くで仕入れて、他の場所で高く売るって、せどりと一緒ね。

せどりって?

ある人たちにとって価値のある本が古本屋で安価で埋もれていると、それを買って、価値のわかる書店に持って行き高く買ってもらうというようなことです。今では本に限らず様々なものを安く仕入れて高く売ることを言うようになりました。

人によって価値観が違うのは分かるけど、同じものが場所によって安くなったり高くなったりするのは、どうして?

まず自然環境的な要因としては、特定の地域でしか産出されないものがありますからね。

熱帯でしか育たないものとかあるしねぇ。

大航海時代には、香辛料は同じ重さの金と同じ値打ちがあったそうよ。

へーっ! 食べちゃえばそれきりのものが金と同じ値段、どういうわけで?

香辛料は味としての価値だけでなく、食品の保存料としての価値もありましたからね。

保存料だったんだ。

ああ、そうか。肉が腐りにくくなるわね。ジャーキーとかの干し肉も保存食やし、あれコショーの味するわ。

コショーをめぐって戦争にまでなっているんです。

当時は冷蔵庫なんてなかったから、貴重なタンパク源をどう腐らせずに保持するかは貿易上も重要な問題だったのね。

ワサビやカラシも食中毒防止みたいなところあるからね。

お刺身にワサビって、そういう目的もあったのね。

ああいう辛い系って殺菌効果があるみたいね。

殺菌できれば食あたりのリスクが下げられるし、腐敗を遅らせたり保存食の製造に使えるわけだね。

アミの本にあるような細菌のない星だったら、いいのにね。

良い細菌もいて、私たちの食生活に細菌は多大な貢献をしているんですよ。

パンはイースト菌がなきゃ作れないわね。ヨーグルトもキムチも細菌で発酵させた食品やからね。

お酒も醤油も菌の力を使って作られています。

くさやも納豆もな。

キノコも菌だね。

それに、腸内フローラといって私たちの腸内にはたくさんの細菌がいるわ。それによって食べ物の消化吸収がうまくいってるのよ。

なんだか、アミの本に書かれてあったことがくもってきちゃったなぁ…

子供向けのおとぎ話なんやろ、もういいわ。

「やれやれ、地球人の典型的な結論のしかただ! もし最高でないなら最悪、白くなけりゃ、なんとしてでも黒でなくてはならない。もし完璧でないなら極悪人、神でないなら悪魔とくる。(以下略)」
(エンリケ・バリオス作 『アミ 小さな宇宙人』より)

害のある細菌だけ殺せばいいんじゃないかな?

抗生物質が微生物の生態系を壊しているそうですよ。

それに細菌と抗生物質の戦いはイタチごっこを続けていて、抗生物質に対抗するために強さを増している悪玉菌もあるんです。

除菌や除虫によって、花粉症やアレルギーを発症してしまう例もあるのよ。

アミちゃんが言うてるように、簡単に白黒は決められんてことなんかねぇ?

いずれにせよ、私たちは細菌と共生して生活しています。

胃腸の中に存在する細菌は、実は脳にとっても非常に重要な役割を担っているのよ。

脳ってことは、その人の考え方や感じ方や性格とかにも影響するってことかな?

腸内の細菌バランスが悪くなると、ひどい場合にはうつ病に関わることにもなるかもね。

ひぇっ! うつ病に?

セロトニンが関係しているんです。

なんやのそれ?

脳内で生成される物質で「しあわせホルモン」と呼ばれたりもします。

腸内の細菌バランスが悪くなると、セロトニンを生成するための原料が不足してしまうの。

頭と胃腸の状態が関係あるとは思わんかったわ!

アルバート・アインシュタイン
アルバート・アインシュタイン

精神を大切にするというのなら、それとつながっている身体も大切にしなければなりません。
(アインシュタイン)

よう考えたら、胃腸の調子が悪くなくても、食べるもんが偏ってたら、脳に大事な栄養も得られんことになるわね。

健康オタクの話はいいからよ、金の話に戻ろうぜ。

そうだね、イギリスは財宝を産出する鉱山がないから、貿易でその財宝をを獲得しようとしたってことだったけど…

 

俺が言ってるのはキンじゃねぇんだよ、カネ、カネ! スパイスの話が出たんだからさぁ、香辛料を独占して価格をつり上げて大儲けするために軍事力を使った話を掘り下げろよ。

それ、暴力による独占やないの!

価格のコントロールについては、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にも出てくるよ。それとなく大人の世界の裏側を暴露してるね。

またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫れないふりをして、かくして置いた金剛石を、誰かがいきなりひっくりかえして、ばら撒いたという風に、眼の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは、思わず何べんも眼を擦ってしまいました。
(宮沢賢治作『銀河鉄道の夜』より)

※金剛石とはダイヤモンドのことです

 

ほほう、本当はたんまりあるのに数が少ねぇって嘘ついて隠しておくのか。腐らねぇものだったら何にでも応用できそうだな。

世の中いっぱい嘘があるんやろうね。嘘つかへん人なんておらんやろうけど、わたしらが買うて持ってるもんて、本当はどれだけの値打ちなんやろうね?

結婚指輪の相場として、お給料3ヶ月分なんて話もありますけど、それを買う人は3ヶ月間仕事に使った時間を相手にあげたことになるわね。

本当はもっと安いのやったら、同じものをもし2ヶ月分のお給料で買えたとしたらよ、その人、余った1ヶ月分のお給料で遊んで暮らせたはずよね?

ハネムーンをもっと楽しむために使えるわね。

時間泥棒って、あちこちにおるのね。

綺麗なダイアモンドの陰には、アフリカで血を流している人々の犠牲がありそうですよ。

ブラッド・ダイヤモンド 予告編

うそや!

本当だったら? 買う奴がいる限り、犠牲者もいなくならねぇぜ。

宮沢賢治は人造宝石を作って人々が安くで買える仕事をしようとしたんだけど、父親に反対されたんだ。

石っ子賢さんて言われるほど石のこと詳しかったのよね。

でも、さすがにダイアモンドは作れんのやないの?

昔から工業用の小粒な人工ダイヤモンドは作られているし、今は宝飾用の大きなダイヤモンドも作れるそうだよ。

10週間あれば電子レンジでダイヤモンドが作れるように

ダイヤは本当は炭みたいなもんなんだけどね。

はぁ?

炭素でできているんです。高熱にかけると燃えてなくなるんですよ。

……

 

 

 

ところでよぉ、同じもんが場所で値打ちが変わるって話は、為替の問題はぐらかしてねぇか?

 

そ、それは私がまだ勉強不足です💦

でも、たくさんの国の人からお金もらう仕事は経験あり😉

いつか気が向いたら書きまーす。

続きはこちら↓

なぜ児童文学なのか8(ユートピアの秘密と失われたもの)
本記事の前回はこちら↓ 『アミ 小さな宇宙人』の世界は実現可能か? ねぇ『アミ 小さな宇宙人』で描かれたようなユートピアって、作れないのかなぁ? 夢見る乙女ちゃんには申し訳ないけど、無理無理。 細菌もいない世界なんて、逆に心配やわ。 ...

 

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