前回の続きです。映画『シックスセンス』のネタバレを含む記事です。
小児精神科医のクロウは、最初は霊が見えるという少年の言葉を信用していませんでしたし、自分には手に負えないと投げ出しかけていました。
でも、「先生しかいない」と泣いて嘆願する少年を振り払えず、少年の言い分をそのまま受け止めることから再スタートを切ります。つまり少年が「霊が見える」と言う発言をそのまま受け入れたのです。
同じシーンに全く別の見方ができる
このことは以前紹介した『フォーカシング』の技術でもあるのですが、実は「受け入れる」というのは「信じる」こととはちょっとニュアンスが違うのです。
幽霊が存在することを信じるかどうかは置いといて、「少年にとっては幽霊が見えている」ということを、少年にとっての事実として受け止めてあげるということです。
クロウ博士が過去に失敗してしまった患者との会話記録テープを聞き直した時、患者が一人きりで待っている部分の音量を上げていくと「死にたくない」というスペイン語のつぶやきが聞こえることに気づきます。
素直な観客は、この場面で「クロウ博士が幽霊の正体に気づいた!」「目で確認できない代わりに声の録音で確認できた!」というインパクトを持ちます。
しかし、カウンセラー的にはもう一つの見方があるわけです。かすかにスペイン語でささやかれる「死にたくない」は、霊ではなく患者のつぶやきとする見方です。
前回記事の最後でも紹介した、少年とクロウ博士の会話を、もう一度引用します。
今回は幽霊の正体を「少年の無意識化の別人格」だと断定して、クロウ博士が実は幽霊を信じてないという見方で読んでみてください。
クロウ「霊が君に語りかけてくるのはなぜなのか、よく考えて欲しい」
少年「助けて欲しいから」
クロウ「そうだよ。先生もそう思う。どんなに恐ろしい霊も助けて欲しいんだ。助けてあげれば、もう現れない」
少年「どうやって?」
クロウ「話を聞く」
少年「助けるんじゃなく、誰かを苦しめろと言ったら?」
クロウ「そんなこと言わないよ」
少年「絶対確信ある?」
クロウ「わからない」
クロウ博士は少年に対して「自分を傷つけず助けてあげなさい」と言っている感じになります。そして…
クロウ博士が本当は幽霊の存在を信じていない場合、この会話で少年が問う「誰かを苦しめろと言ったら?」の発言がどのように感じられるかというと「幽霊に悩まされる可哀想な子」ではなく「僕ちゃん、幽霊のせいにして誰かを苦しめちゃうかもしれないんだけどぉ?」という無意識を抱えた存在として見えてくるわけです。これもまた怖いですね~😱
実際の霊(?)体験
さて、こんな展開の中で、ここから私自身の霊体験について語らせていただきます(笑)
霊体験…というか、霊なのかどうか私自身も何の確信も持ってません。とにかくわけわからん不思議体験でした。
体験したのは数日間のみ。それも目に見えるものではなく、耳に聞こえてくるだけのものでした。
独身で二階建てのアパートに独り住まいをしていた頃のことです。毎朝、まだ暗い4時とか5時頃に女性のすすり泣く声で起こされていたのです。何かを訴えて喋っているのですが、何を言っているのか全く言葉が聞き取れませんでした。
何よりも、私自身が幽霊なんて信じてませんでしたから、隣の部屋で夫婦喧嘩をしていると思いました。
はじめは「なんか、かわいそう」「何があったんだろう?」と同情したのですが、1日の始まりが女性の泣き声ですから、こっちの気分も どよぉん なわけです。それが三日も続いた日にはとうとうイラッとしまして、どの部屋の住人か確認するために、窓を開けて明かりのついてる部屋を探しました。しかし、どこも真っ暗です。
「暗闇で夫婦喧嘩かよ!」と呆れるやら、気味が悪いやら。声が漏れてくる方向を探ろうとするけど、声は聞こえなくなっていました。
諦めて窓を閉め、部屋の明かりを消し、もう一眠りしようとベッドに入ると、また泣き声が始まるのです。
そのくせ、壁に耳を当ててみても何も声は聞こえてきません。上の階はないから残るは下の階かと床にも耳を当てるけれど、やっぱりダメ。
もう一度窓を開けて身を乗り出し…を何度も繰り返しました。
私はとうとう窓を開けて探るのではなく、玄関から部屋を出てあちこで声の出所を突き止めようとしました。けれど外に出ている間、女性の泣き声は全く聞こえなかったのです。
「突き止めるのはまた今度」と自分の部屋に戻ってみると、泣き声が聞こえるのです。
泣き声がよく聞こえるのは、結局ベッドのある部屋。
幽霊や超常現象なんてものは全く考えてませんでしたから「3日間も早朝4時5時に繰り返す喧嘩の原因は何か?」と、そっちに意識が傾きまして、すすり泣いて訴える女の言葉を聞き取ろうと必死で耳をすませました。
しかし、どれだけ頑張っても一言の単語すら聞き取ることはできませんでした。確信できたのは、確実に大人の女の泣き声ということだけ。
それから、ハッと気付きました。男の声が一切聞こえてこないということに(気づくの、おせーよっ!)
なので、夫婦ではなく独身女が一人でブツブツ何か言いながら泣いているか、あるいは夫が妻の訴えに対して完全無視なのか? どちらにしても、その光景を想像すると、ちょっとヤバいんじゃないのという感じ。
というか、自分の部屋から女の泣き声がしてると微塵も考えてみないあの頃の自分に「オィッ!」とツッコミを入れたいです(笑)
まぁ、その能天気さのおかげで、私は幽霊に対する恐怖を持つこともなく、その後も平気でその部屋に住み続けました(^o^)
それから2日くらいしたらその現象はなくなりました。というか、私が4時5時に目覚めることがなくなりました。なので、7時8時に起きるまでに、本当は泣き声が続いていた可能性もありますけどね。
あるいは霊は「5日間頑張ったけど、何一つ聞き取ってくれんかった~」とすねて沈黙したのかもしれません。もしそうだったら、幽霊さんゴメン(^ ^;
当時の私は「どこの誰か知らんけど、あの憂鬱な泣き声がなくなって、きっとあの女性も問題解決したんだろうな、よかったよかった」と思って過ごしました。
幽霊である確証なんて何もありませんし、あるいは異次元の誰かさんとか、違う時代(過去も未来も含む)の誰かさんかもしれませんし、もちろん私の幻聴だという可能性も完全否定はできません。
「早朝4時5時なら睡眠の深度がどの程度でどうたらこうたら」とか「おそらく、その頃何か深層心理的に何かの問題を抱えていたのだろう」とか言って私の幻聴や心理異常の問題にしてしまえば科学的つじつまが合わせられて、それで解決と思うような人は、はっきり言って論理的な思考ができない人としか言いようがありません。
つじつま合わせはできるでしょうが、証明したことにはならないし、幽霊や異次元存在や別時代(あるいは別空間)とのクロッシングの可能性を否定できたことにもならないのです。
幽霊などではない、ちゃんと人間の女性が泣いていて、その場所を私が突き止められなかっただけの可能性だって消えるわけではありません。それが分かってない人は理論的思考はできない人です。感情優先型で、場合によっては危ないタイプ。
そんなことより、私が一番問題にしたいのは、その声が泣いて訴えていたということ。
そこで映画『シックスセンス』にまた戻りますが、次の部分がずっと気になっているわけです。
少年「助けるんじゃなく、誰かを苦しめろと言ったら?」
クロウ「そんなこと言わないよ」
少年「絶対確信ある?」
クロウ「わからない」
世の中全体を幸福に変えていく上で一番の問題は、相手が霊であれ生きている人間であれ、この問いにどう回答できるかなのではないかと、今の私は考えています。この問題については次回触れたいと思います。
私の場合、聞こえた女性の泣き声が何を訴えていたのかは全く分かりませんでしたが、その魂が心の平和を手に入れたら、少なくともそこからの負の連鎖はなくなると思うんです。
泣いていた何者かは、過去・現在・未来のどこかの時点で私に関係する人間なのか、それとも住んでいたアパートを介しての一期一会だったのか、私には分かりません。そして、あれっきり声を聞くことはありませんでしたから、彼女が問題解決しているといいなと思ってます。
で、残るは「なぜ私にそれが聞こえたのか?」という問題。
人間の声が漏れていたなら、現実問題として私はとくに今さら何も考えなくて良いと思ってます。
映画『シックスセンス』のように、霊が何かを伝えようとしていた場合のことがちょっと気になるんです。幸か不幸か何も聞き取れなかったので、私は『シックスセンス』の少年のようにメッセンジャーにはなれなかったのですが、それは「見えないところで誰かが問題を抱えて泣いています」という私宛のメッセージになるのではないかと考えたりするのです。
目に見えない存在の心の問題が時空間を漂っていて、それが生きている人間たちに何か影響しているとしたら…?
もしそういう啓示が私に対して行われたのだとしたら、私がすべきことは、問題を抱えて泣いている誰かの気持ちを安らぎの方にシフトする手助けをすることだと思うんです。
私に果たしてそういうことができるのか、それは分かりません。できることがあったとして、世のすべてのことに対してそれができる力などきっとないでしょう。
それでも、私は自分自身と誰かをほんの少しでも今より幸せに近づけられるようにしていきたいなとは思っています。
つづく
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